富士登山の各コースごとの登山者数推移(2013年度)

世界文化遺産に登録されて初めてのシーズンが無事に終了した。

危惧されていた、登山者数の急増や弾丸登山などでとりたてて大きな問題は発生しなかったように思う。

今年度の富士山登山者数の集計結果が環境省より発表されたので、やまいこポータルでもその結果と独自の考察を加えたいと思う。

図:2013年度までの富士山登山者数推移
2013統計

グラフ:2013年度までの富士山登山者数推移
2013統計グラフ

出所:環境省データに基づく

コメント:

世界文化遺産登録により、大きく登山者数が増加すると推測されたが、結果的には平成24年度の登山者数を下回る結果となった。この結果に筆者は非常に驚いている。この結果にはいくつか要因があると思われるので、それらを考察してみたい。

考察1:富士山入山料による登山者数の抑制効果。

今年は試行導入であり、低額の入山料(1000円)でありむしろ入山料支払いによる記念品の贈呈もあり、抑制効果はほとんどなかったように感じる。

考察2:マイカー規制期間の増加

今年は富士山世界遺産登録に伴い、マイカー規制の期間が昨年以前よりも長かった。これにより、登山者が登山自体を敬遠したという可能性も考えられる。しかし、マイカー規制に伴う、バスなどの移動手段は充実しており、この効果も限定的である印象がある。

考察3:混雑しそうという推測で登山者が今年の登山を避けた。

混雑であってもあえて行って行列を作る日本人の特性を考えるとこの影響も限定的か。

考察4:そもそも小屋の宿泊者総数が決まっていて、自然と上限に抑制がかかった。

筆者としても、この考察が最も有力であると思われる。今年は、各自治体やメディアなどで盛んに弾丸登山を避けるように報道があった。実際に、弾丸登山者数は前年度に比べて20%近く減少したとの報道もあった。

富士山:「弾丸登山」3割減 マイカー規制強化影響?
http://mainichi.jp/feature/news/20130903k0000m040120000c.html

かといって、宿泊で登った人が増加するかというと、宿泊出来る人数は限られているので、増加も限定的になる。

最後に・・・:

次年度以降、外国人登山者の増加なども考えられるが、富士山に登る事ができる人数の上限はもはや飽和しているようにも感じる。環境保全や登山者の安全を守る観点からも、飽和している状態が好ましくも感じる。来年以降も安全な登山が行われるように願っている。